« 2006年05月 | メイン | 2006年07月 »

2006年06月07日

一連の事件に思う

 先日村上ファンドの代表が逮捕されました。逮捕前に異例の記者会見を行なうなど,色々とパフォーマンスを行ないました。

 当社の有る府中市は2005年の夏に郵政問題をかかげた衆議院選挙で自民党を離脱された亀井静香代議士のいわゆる刺客としてホリエモンこと堀江貴文氏が立候補をして全国的にミーハーな注目を集めた場所であります。

 村上さんの言うことを聞いていますと,生意気な事を言うようですが,

●世間知らずの(苦労知らず?)人間が行き場がなくなって(または自分が人から認められなくて)発している断末魔に近い

と言う感じがします。それは確かに,ご苦労もあったでしょうし,私なんかより,ずっと仕事はされているとは思います。僕自身もほとんど仕事漬けではありますが,それは自分の段取りと言うか,能力が低いからであって,能力をもっと高めれば効率良く仕事をできるようになれば別の事もしてみたいと思ってます。

 あの人の言うことの完全な欠点は以下の通りだと思います。

●お金を儲ける事がそんなに悪い事ですか?
 →だれもそんなこと言ってません,やり方が悪いと言ってるだけです。論点をぼかさないでください。
●私が嫌われるのは,稼ぎすぎたから
 →完全な視野狭窄に陥っていると思います

 お金を基準にものを考えると,完全に自己矛盾に陥ります。株主利益優先と言いますが,ご本人も言われている通り,外資や出資者のプレッシャーに負けただけです。確かに今回のきっかけのインサイダーは,微妙なところで,つい陥ってしまう誘惑ではありますけれども,本当にイカン!と思えば,出資者からそっぽを向かれたり告訴されてしまうかも判りませんが,それに対して毅然と(自分の信念として)守り通す決意(熱意)が欠けていたのでしょう。

 しかし,堀江氏よりは優秀です。私が悪いと言ってますから。
 私は,人間は事情はどうあれ失敗や間違いを犯したり,誘惑にはまりやすいと思ってますから,人間にとって最も重要なのは「ありがとう」よりも「ごめんなさい」が言えるかどうかだと思っています。自分に良くしてもらって「ありがとう」と言うのは誰でもできますよ。

 選挙の時にも堀江氏の事を冷めた目で見ていた私ですが,いまだに社会的な責任を考慮できず,自分の問題としてこだわり続けている堀江に言いたい。

●本当に反省しているのだったら,持っている資産を基金にして出資者に少しづつ返済するか,教育または福祉基金化しなさい
 →その上で,自分は無罪だと主張しろ

 だいたい,株式と言うのは,その会社のやっている内容や方向性に社会的意義や可能性を期待して「その会社のために協力しましょう」と言う,出資側も受ける側も一種の義侠心で成り立っているものだと思います。それが欠落した宝くじのような今の株式市場に家庭の主婦が「きゃーきゃー」言うのは当然かな。
 たとえばみんながみんな出資者になって実動部隊がいなくなったらどうするんだ。って,それはありえないか。金を出す人は働く人に敬意と感謝の念が必要なのでは?それを考えるとオーナー社長の皆さまは苦労が絶えないですよね・・・

 敵対的買収と言うのは,競争相手に対して正当にルールを守って行なうもので,ちょっとお金を持っているからと言って「ゆすり」「たかり」で行なうものではありません。

2006年06月04日

Appleのことになると・・・

 アップルコンピュータについてこんなニュースを見ました。産経新聞です。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20060604-00000007-san-bus_all

 「独自路線を変更」と書いてありますが,アップルほど独自路線を突き進めているメーカーはないと思います。

 この記事に書かれてある「コンピュータの頭脳を従来の IBM から Windows パソコンで良く使われている Intel に変わった」事は言ってみればトヨタがエンジンを内作するかヤマハから調達するかの違いであって,エンジンが変わってもトヨタとしてのブランドイメージをより良くするために内装やデザイン,質感など製品として企業イメージを決定するトータルなものはトヨタが責任を持ってインテグレーションしているのと同じ事ですよね。

 今回はかなり辛口に書きますが,知識やポリシーの無いメディアは特別な存在に対してセンセーショナルに書き立て過ぎです。私,産経新聞と毎日新聞は新聞じゃないと思ってますので,余計にそう思っているのかも判りませんが・・・商業的にはサンケイグループは優秀なのかも判りませんけれど,両紙ともフリーペーパーのように思えて仕方がありません。鹿内さんがやってたころの「サンケイ(産業と経済)」の方向性を思い出したらどうなんだ,とか感じたり。

 Mac が Windows を起動できるようになったのだって,私たちの意見は正反対で,

●経済戦略的には高速な Windows マシンとしてアップルのハードウェア売上を増やす
●ソフト戦略的には Windows を起動できる事によってそれを呼び水として MacOS の優秀さに触れる機会を与える

 と,言わば Windows しか使った事が無い人たちの「ために」わざわざアップルがそんな手間をかけているわけで。

 コンピュータ企業の評価に「シェアが低い」と言う項目が良くあげられますが,シェアが低くても高収益であればそれはそれで優秀なわけで,アップルは借り入れは無いですし(まぁマイクロソフトもデルもないでしょうけど),シェアが低いと言うのは決して「製品が悪い」と言う意味ではありません。シェアが低くて悪いのならベンツや BMW に乗るなよ,みんな。フェラーリだって良く壊れるけどそれを楽しんだりして乗ってるじゃない。

 と,言う訳で,Apple のことになると過剰な反応を示すメデイアと藤森のお話でした。